猫の内分泌疾患の特異性
猫は、内分泌学的には人間や犬に比べ、大変特異な動物です。
・・・ですから人間や犬のホルモン系の病気の常識が、おうおうにしてそのまま通じない場合が多いのです。
このことは、猫の飼い主にとっては、きわめて重要なことで、この際、充分な知識を持っていただかないと、とりかえしのつかない事態を招いてしまいます。
また猫は、ホルモン剤の投与に対しても、人間や犬の場合と、感受性が大変異なっており、代表的なホルモン剤である、副腎皮質ホルモン(俗にコーチゾン)を例にあげれば、犬の倍量を与えないと、効果が望あません。
幸いなことには、猫は、犬に比べ、内分泌疾患の発生する頻度は、高くありません。
しかし、ひとたび発症したものには、悪性の疾患が多いことも、注目しなければならない重要なポイントです。
ここでは、猫の内分泌疾患のうちで、比較的頻度の高いもの、また悪性度の高いものや、今日わが国では発生がないといわれていましたが、最近になって具体的症例が発見されたものなどを、ピックアップして述べてみたいと思います。
まずは尿崩症。
生体の水分の調整を司どっている、もっとも重要なホルモンは、ADH(抗利尿ホルモン)です。
動物は、5%の脱水が起こると症状を現わし、10%を越えると生命の危機が迫り、脱水が12~13%に達すると、いつ死んでも不思議ではありません。